■茶壺を集める | ||
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茶壺もいくつか手に入れると,不思議なものでまた次のものが欲しくなってしまいます。一般的に毎日飲む日本茶の急須をいくつも持とうとは思わないのですが,宜興茶壺はなぜか次のものが欲しくなってしまいます。するとだんだんと,姿形が変わったものから,良いものへと興味が変わっていきます。茶壺をコレクションとして集める際の基本的なポイントです。 良い壺,作家ものの壺をよく見て,良い壺だけが持つ優雅さや気品を肌で感じ取ることが大事です。香港や宜興の博物館に行けなくても,写真だけでもかなり鑑賞眼は養えると思います。写真集でしたら,日本では,平凡社から故顧景舟大師が監修の宜興紫砂壺の写真集が出ていますし,神田等の台湾関係の書店や,一部大陸系の書店でも壺の本は購入できます。 |
■茶壺コレクション:数から質へ | |||||||
(1)数(ギャベージコレクションの段階) | (2)テーマを決める | ||||||
茶壺に限らず,コレクションというからにはある程度数を集めることになります。というか集まってしまいます。初めの頃は,まず色や形の面白さからお店で目に留まったものを集めだすことが多いと思います。 数がだんだんと揃ってくるとだんだんと自分の好みや良いものとそうでないものがわかってきます。 残念ながらある程度数を集めないと,良し悪しもわかってきません。 この段階でいちばん重要なのは,やはり悪意のある茶壺は避けるということです。偽ものには手を出さない勇気が必要。でも,つい落款に有名な名前があると「掘り出し物!」なんていってだまされちゃうんですね。 あとは御自分の好みもあるでしょうが,ひととおり定番の形を集めるのがよいでしょう。 |
数が揃ってくると,分類したりしたくなります。 そうすると,次の段階はなにかテーマを決めてコレクションを充実させていくというのも良いかもしれません。たとえば,金魚のものを集めるとか,馬のものを集めるとか,そういったテーマを決めてもおもしろいでしょう。お小遣いなど予算がありますから,コレクションのバランスを整えるには,テーマを決めるのが良いと思います。 カメラや,時計などのコレクションなら,決めたテーマがいったん完結します。たとえば,何年もののXXXをすべて集めるなんていうのだと,完成します。ところが,茶壺の場合は,第一工場の80年までのすべてのものをそろえるなんていう方はいないと思います。それはあまりに世界が広すぎるからです。
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(3)コレクションの広がり | (4)質へ:審美眼を養う | ||||||
茶壺だけを集めるのかという問題があります。つまり,茶壺だけでは,お茶道具としては成り立たないからです。コレクションのバランスというのは重要です。数十万円もする作家ものの茶壺で,300円の茶杯ではあまりにアンバランス。ただ茶道具というと,かなり幅が広がってしまうのも事実。青磁などの花入れから,文房具,軸物,香道具,茶室なんてところまでいってしまいます。 そこまではともかくとして,やはり茶杯など必要最低限の茶道具は,バランスで集めましょう。 抹茶のようなきちんとしたルールは必要ありませんが,おもてなしするお客様に合わせた茶杯を用意するとか,季節季節で,テーマにあった道具を使うというのは,コレクションがあればこそ可能な,道具遊びの面白さです。
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コレクションも数がある程度揃ってくると,「良いもの」が欲しくなります。いわゆるコレクションの「花」です。茶壺のの美の本質とはなにかといえば,唐物の美です。 重要なのは茶壺の場合立派に中国美術の一分野であるということ。つまり,中国の美術品には書画だろうと茶壺だろうとすべてのものに同じ根があります。これが唐物の美です。 他の中国美術に目もくれずに茶壺だけを見て集めていてもあまりきれいな茶壺コレクションにはなりません。逆にいつまでたってもコレクションとしては三流のままなんてことになりかねません。 つまり唐物を見る目:審美眼が育たないからです。よい茶壺を集めるためにはご自身の目を養うことが重要です。銅器や磁器,書画や文房具などの名品を見て鑑賞眼を養ってください。うれしいことに,日本には中国の美術品が展示されている美術館はたくさんあります。特に銅器は,中国美術の原点です。茶壺のバランスやデザインもオリジンはこのあたりです。 一度良い茶壺がどういうものかがわかってくれば,おのずとあなたのコレクションは精査されてきます。 コレクションというのは茶壺に限らず一朝一夕に完成するものではありません。何年もかけて,入門編のコレクションから,換骨奪胎されて良いコレクションになっていくのが,醍醐味でしょう。 |
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■本物を見る目の養い方 (1)本物を出来るだけ数多く見る なんといっても本物を出来る限り見ることです。香港とか,上海などに行ったら夢に見るくらい本物を見ることです。上にも書きましたが,茶壺に限らず中国美術品を数多く見ることです。 (2)比較する 良いものと良くないものを比較してみるというのも,勉強になります。これはすごく勉強になります。どこがだめかというのは,だめなものだけ見ていると目が慣れてきてしまいますが,隣に良いものを置くと偽ものは,さっと輝きを失います。 (3)理屈も大事 この時代にこれは無いとか,そういった基本的な知識も必要です。幸い中国語圏では茶壺の勉強をするための本がたくさん出ています。
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