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茶壺の代表的なかたち
幾何型(光貨)
幾何型は,茶壺の中でも一番多く,球を主体にしたものと,キューブを主体としたものがあります。球は,泥板をたたいて球にし,四角のものは泥板を貼り合わせて作ります。

壺蓋のつまみ,壺蓋,壺の本体3つが球を串在にしたように並んで見えるところからこの名前があります。民国の大家,程壽珍のものが有名です。
井欄壺 
 
陳曼生のものが有名です。井戸の欄干をモチーフにしたものです。
牛蓋壺 
 
牛の鼻を蓋にイメージした茶壺です。顧景舟先生が制作されていました。
高井欄壺 
 
井欄壺で背が高いものを高井欄といって,顧景舟先生が制作されていました。
円珠壺
 壺蓋と本体が一連になっており,ボールのように見えることからこの名前があります。
直筒壺 
 
円柱型の壺です。民国の頃かなり作られていました。
倣古壺
 倣古壺というのも非常に伝統的な様式です。上記と一見似ているのですが,本体部分が,すこし扁平しているのが特徴です。
瓦当壺 
 
瓦当とは,日本で言う鬼瓦のことで瓦のトップに取り付け装飾を施したもの。通常は円形なのですがこれを上下に切った形なので半瓦当壺という言い方もします。
扁平壺
壺の腹の部分が平らに変形しているものをいいます。
四方壺 
 文字通り,四角い形の壺です。この壺は,板状にのばした紫砂を張り付けて作ります。非常に高い技術が要求されます。
石銚壺
壺本体下の部分に折り返しがあり,直線的に上部に向かって細くなっている壺です。
漢方壺 
 
基本的に四角いのですが,上部に行くに従って細くなります。
漢扁壺
 壺本体の中央に直線が入り上下を分けているものです。民国 程壽珍制のものが有名です。
六方壺 
 
六角形の壺です。
石瓢壺
 壺本体を横から見ると三角形になっています。
四方伝炉壺 
 
壺身は四角いのですが,角が丸く落としてあります。民国の大家「呉雲根」が得意とした壺です。
洋桶壺
比較的大型の茶壺で,水注として使われることが多く,これも宜興では伝統的なデザインです。
蚤包壺 
 
胴体の下部分が,玉子のような形なので,この名前があります。
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合歓壺
 
本体の中央部分から上下に分かれています。
鐘式
 釣り鐘の形をモチーフにした壺です。
漢君壺
 
早期壺特に文革時によくつくられていました。
蓮子壺
 この写真は加彩ですが,この形のものを蓮子壺といいます。
提梁壺
 提梁壺とは,いわゆる上手の茶壺を言います。
僧帽壺
 僧侶がかぶる帽子をデザインしたものです。時大彬がデザインし,様々な作家が手がけています。

自然形(花貨)
このグループは,別名を花貨といいます。清朝の名家「陳鳴遠」のものが有名ですが,現代作家では,「蒋蓉」のものが有名です。蒋蓉は,西瓜壺やマンゴ壺などさまざまな新しいデザインを自然の観察から生み出しています。
南瓜壺
文字通り南瓜型の壺です。陳鳴遠のものが有名です。
竹節壺
 竹の節や葉をモチーフにした壺です。
仏手壺
仏手柑という果物をモチーフにした壺です。
松鼠葡萄壺
 リスと葡萄が木の上に装飾してある壺です。
梅段壺
 この壺も非常にトラディショナルなもので,梅の幹を鋸で切った状態のものに,梅の枝や花がついているというイメージです。
蓮蓬壺
蓮の花をモチーフにした壺です。現代の大家,蒋蓉大師のものが有名です。
桃壺
 この壺は,急須ではなく,暖酒壺といってお酒を暖めるものです。煎茶では水注に見立てます。底の部分に穴があいており,蓋はありません。これに茶葉をいれるととれなくなってしまうので,注意してください。
獅子壺
 晩清から民国にかけて非常によく見られるタイプの壺です。民国の江案卿のものが有名です。獅子の部分に牛や,リスなどがあるものもみられます。本体部分は筋紋型が基本。
百果壺
 これは,正確には自然形というより,幾何型の壺に,栗,唐辛子や,豆,蓮などがついている壺です。
高仏手椿
謝曼倫のものが有名です。この手の椿がついている茶壺,一時期非常に多くあったのですが,現在はほとんど見なくなりました。茶壺のデザインもはやりすたりがあります。
松段壺
 上記梅段壺に対して,松の木をカットしたデザインです。何道洪のものが有名です。
梅庄壺
 これも清朝末期から現代までよくみかけるものです。早期壺でも多くあります。
柿子壺
 清朝末期から民国にかけて作られました。柿の実が本体。へたの部分が蓋になっています。
供春壺
 木の瘤をモチーフにしたとも,柑橘系をモチーフにしたともいわれています。黄玉隣のものが有名です。
三獣壺
 注ぎ口・蓋上・把の部分にそれぞれ怪獣がいるので三獣壺と呼ばれています。宜興伝統的なデザインです。
亀龍壺
 伝説上の亀龍をモチーフにしたものです。

筋紋形
筋紋形(きんもんけい)は,作りが難しいためあまり量産品として出るものは多くありません。壺釦(一番上の部分)から,本体まで,線がまっすぐに綱がって,蓋の位置を入れ替えても,寸分の狂いもないものがよいものといわれています。
菊心壺
 菊の花弁をモチーフにしています。
魚化龍壺
 これは,自然形のようにも思いますが,壺本体に波雲をあらわす紋があるため,筋紋形に属します。魚が龍に変身するという中国の物語をモチーフに,黄玉麟がデザインしました。最近はあまり見ません。
高菱紋
筋の凹凸が交互になっています。これはさらに制作がむずかしいものです。同じタイプのものに,水仙花弁壺があります。
半菊壺
王寅春の代表作といっても良いもので,宜興で本物を見ましたが実にすばらしいものです!
如意壺
雲の模様が入っています。顧景舟大師のものが有名です。
六方竹壺
 竹を張り合わせたデザイン。自然形といった方がよいかもしれません。
四方陰角竹頂
 范大生のものが有名です。ずっしりとした胴が民国茶壺の優雅さを表しています。


小 壺
工夫茶や煎茶の手前で使う小壺です。茶葉が自然に開くという意味からは胴が球形のものが一般的です。朱泥のものが珍重されています。理由は,紅色が縁起のよいこと。朱泥自体の生産量が少なく希少であること(現在はほとんどとれません。現在流通しているものは酸化鉄で着色しています。)などがあります。

水平標準壺
直注ぎ口の水平壺で一般的に標準壺と呼ばれるものです。まず一つというならこの茶壺だと思います。水平壺とは,水に浮かべても傾かず,水平を保ち舟のように浮かぶという意味です。
漢珠
口が留佩口になっているタイプで,この手の茶壺は,いちばん入手しやすいのでは,無いでしょうか。日本でも大人気です。
巨輪珠(具輪玉)
煎茶家の間では,いちばん珍重され,明治期にはこの壺の口がすこしひしゃげたでっち具輪というものが,ものすごい価格をつけていました。中国語圏では逆に全く人気が無く,現在の価格は底値です。
直流扁壺
胴体が球でなく,円柱のようになっているものを直流壺といいます。これは,直流壺で,すこし背が低くつぶした感じなので,扁という字がつき直流扁壺という名前です。
茄子型壺(思亭壺)
これは,工夫茶をやる台湾人が好きな形の一つで,清朝のものは,台湾で車が買えるくらいの値が付いています。
梨型壺
茄子型と同様,民国の頃は一般的だったようで,古壺の基本形といってもよいとおもいます。。
留佩(るはい)
 留佩は,清の名家邵景南の号。具輪玉と同様,煎茶家のあいだで珍重されてきました。正しくは,の小さいものですが,この注ぎ口の形を煎茶では,留佩口と呼びます。
卵型壺
文字どおり卵型の壺です。これは,使いやすいです。
直流壺
上の直流扁壺の背が高いものです。墨縁斎のものが有名で,煎茶道具として伝世品が残っています。
扁鼓壺
球をつぶした扁平型なので,扁壺といいます。この手の茶壺も日本で人気があります。
文旦壺
 文旦という銘が入っているため,この名前があります。把が独特のカーブです。
 

      *印は,「中国紫砂図録」などより転載させていただきました。

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