■茶壺を買う | ||
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全面的に書き換えました。茶壺を買う際のヒントになれば幸いです。 たかが急須,されど・・・です。キーワードは定番ということ。つまり,昔からある伝統的な形のものにこだわってください。まず一着目のスーツは,チャコールグレーかミッドナイトブルーの無地を!というのと同じです。 茶壺には定番の形があります。逆にそうでないものものもあります。ほかのページでも,説明していますが,見て妙なものは使っても妙です。へんてこなものを見て,宜興の茶壺はだめ!なんていわないでください。百年以上受け継がれてきた形には,急須としての機能美があり,最近のデザインや,ルールのわからないまま作ったコピー商品は,手を出さないに越したことはありません。
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最初の一個
1ランク上の茶壺を
コレクション
一生もの
こういうのは買うのをやめましょう
最初の一個 | ||||||||||||||||
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■定番のものを! 茶壺を買う場合,形の面白さについ目がいきがちですが,定番のものをまずそろえましょう。 最初から,妙な形のものを買うのはお勧めしません。ときどき,いくつも茶壺を持っているのにひとつも定番のものがないというかたがおられます。どうでしょう?やはり基本をおさえてからだと思うのですが・・・
それ以外にも,茶杯などの基本セットが必要になると思いますので,あまり茶壺だけに予算をつぎこめませんね。あと,茶壺と茶杯や茶船などがセットになったものもありますが,紫砂の茶杯はだしたお茶の色がたのしめませんから,茶杯は見込み(中)の白いものを選ぶか,磁器のものにしましょう。詳細は,別コンテンツを参照してください。 |
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1ランク上の茶壺を | ||||||||||||||||
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■早期壺 入門編はもう卒業!という方が次にゲットしていただきたいのは 早期壺です。早期壺とは,中国宜興で,文革時期から80年頭くらいに生産された茶壺です。いろいろな原因があるのですが,簡単に言うと,この80年代を境にしてそれ以前と以降ではまったく茶壺の土の質がことなるのです。早期壺は実に良い土を使っています。土だけでなく,さまざまな部分で合理化や機械化がなされたため,最近のものは早期壺にくらべるともうひとつ面白みがありません。早期壺は,今出来のものとは違って,養壺(茶壺を磨いてつやをだす)がしやすく,お茶もおいしく入ります。 このステップからは,皆さんの目が重要になります。つまりだまされる可能性がもうこのあたりからはゼロではありません。このランクのものを探すのは,オウン・リスクで考えてください。 まず,当然ながらすでに生産されていませんから,早期壺をくれといっても,一般のお店にはありません。(台湾には早期壺を扱う専門店がいくつかあります)日本で残っている可能性があるところでは,「筆墨」などを売っている店です。地方の日本茶屋にも残っている可能性はあります。宜興の茶壺で小さいものは,墨の水入れとして使われていました。でも,もうほとんどないかもしれません。 ポイントとしては,土の肌なのですが,それを説明してもおそらく現物をご覧になっていない方には理解がいただけないと思いますので,目安としては,下の写真にあるような茶壺の底に押されたシールマーク(落款)です。 早期壺の場合底のシールマークには大きく2つあって,ひとつは「中国宜興」と書いてあるもの。 もうひとつは難しいのですが,篆書という字体で「荊渓恵孟臣製」と書かれているものです。荊渓とは,宜興の昔の名前。孟臣とは,明の頃の恵孟臣という名家の名前です。 最近の茶壺は,作者の名前が入っていますが(もっとも信用おけませんが)早期壺には,この2つのマークしか入っていません。ほかに「宜興紫砂」とか「宜興紫砂名壺」などというマークのあるものもありますが,これはもう少し時代が古いものです。
ただ,注意点は,このマークは現在も使われているということです。つまり早期壺が欲しいという人が多いから,このマークを入れて作っちゃえ!という商法です。 最近は高くなってしまいましたが,1万円を越えるようなものではありません。逆に,1万円を超えるような値段でこの早期壺を買ってもそれほどの価値(これは美術品として)はありません。ご注意を! |
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コレクション | ||||||||||||||||
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早期壺も手に入って,まだ欲しい!と思ったらもうあなたは「壷迷」 コレクションという出口のないトンネルが待っています。 Welcome 壷迷という感じですが・・・(笑) 焼き物コレクションは茶壺に限らず,最初は数。その次は質というふうになるようです。本来はしっかりとした良いものを集めるのが本筋ですが,逆に数を買って失敗しないと良いものが見えてこないという面もあります。 コレクションには,2つの道筋があります。 ギャベージコレクションと,専門コレクションです。 前者はつまり何でもかんでも自分の感性で集める。後者は,古壷なら古壷,金魚なら金魚の飾りの茶道具というテーマを決めて集める。 一般的にコレクションを始めるなら,茶壺だけというよりも,茶道具全般をというテーマもあります。(これが本筋でしょう) まず茶壺なら,テーマを決めるのがよいのではないでしょうか。 いずれにせよ,まず良いものを一個ゲットするというのが大事です。 コレクションの世界では基準(ベースライン)と言います。基準壺を決めて,それを下回らないものを集めるのが良いでしょう。ごみを100個集めても,真珠にはなりません。ごみの山です。ここからは,ご自分の予算と勝負です。個人的な意見ですが,3000円くらいのものをいくつもあつめるなら,少し高級なものを一個買うほうが良いとおもいます。 ネットショップは,高級なものをあつかうところもあります。 ただ,アドバイスをするなら,作家ものなどというブランドで選ぶのではなく,やはり基本の形やルールにのっとった伝統的なものを選ぶべきだと思います。概して,作家ものなんていうのはへんてこな形をしたものが多いです。 あるいは,民国くらいの古壷です。これは,骨董品店などで買うことになりますが,民国時期のものは,早期壺に比べてまたさらに数段と良い土である上に,民国時代は,民国や清朝の伝統的なデザインのものがかなり多く作られていますので,デザイン的にも申し分ありません。 現在,骨董市などで入手可能な古壷は,(骨董屋さんがなんといおうと)9割がたは民国の中期つまり明治の終わりから大正くらいのものです。 清朝のものがでることは本当にまれです。明のものなど絶対にでません。(サザビーズのオークションなら別ですが) |
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一生もの | ||||||||||||||||
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コレクションもある程度進むと,「花」が欲しくなります。つまりコレクションの目玉です。コレクションの究極は本当に良いものを数点だけのこして,愛でるという姿でしょう。 その場合は,圧倒的に古壷です。なかなか出会えるものではありませんが,マイフェイバリットな茶壺でお茶を飲めれば,こんな幸せな時間はないと思います。 |
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こういうものはやめましょう | ||||||||||||||||
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信じられないと思いますが現在日本で売られている茶壺のだいたい6から7割は宜興純正製ではありません。
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*印は,玉壺雅集より転用させていただきました。 |