骨董品の茶壺を使えるようにする
 古壺を手に入れると非常に嬉しいものです。鑑賞陶器として集めるならそのままでも良いのですが,茶壺の場合,使えるようにしないとなんのために買ったのか分からなくなります。
 古壺再生方法をご紹介します。

 ポイントは,中国で売っているような,靴墨で汚してないものであるということです。
 煎茶の急須として大事にされてきたものは,そのまま使った方が良いでしょう。汚れがひどい場合は,洗剤をつけずに水と歯ブラシだけで洗い,磨けば驚くほどきれいになります。
再生手順
購入直後の姿
 長年蔵かどこかで使われずに寝ていたのだと思います。
艶もなく,びっしりとほこりというかよごれがついています。でもこの汚れ,中国で売っているような靴墨をつけたものでも,わざとカビをはやしたものでもありませんから,再生は可能です。
 靴墨は再生のしようがありません。ブリーチの原液につけてもだめですし,買わないこと!という以外対処しようがありません。靴墨は,この段階で妙に光っています。水をつけると,(当然ながら)水をはじくのですぐ分かります。

幸いにしてこの茶壺にはニュウやホツがない完品です。ここがポイントで,汚くても傷さえなければokです。特に茶壺は,熱湯を淹れて使うものですから,ニュウ(ヘアラインクラック)などが入っているものは,決して買ってはいけません。かすがい修理などがしてあればokですが,通常のとも直しでは,使っているうちに割れてしまうことが多いです。

まず,水だけで洗うか洗剤をつけて洗うかを考えます。
この茶壺の場合ここまで汚いですから思い切って,クレンザー(あまり研磨剤のない方が良いかもしれません)をかけます。
このように,コシの無くなった歯ブラシで洗います。
きれいな色になりました。茶壺の内部は,このあとブリーチ(漂白剤)を薄めて1日くらい入れておきます。注ぎ口の中の汚れが落ちないときは,割り箸を細くしたもので掃除します。綿棒が入ればそれでもかまいません。

最近内部の掃除には,すぐれものがあります。
「ポット洗浄剤」「入れ歯洗浄剤」「簡単洗浄丸(商品名)」などの発泡性洗浄剤です。いろいろ試しましたが,入れ歯洗浄剤が一番有効でした。水を満たした茶壺に洗浄剤を数時間いれておけば,ほぼ焼き上がったときのまっさらの状態に戻ります。しかも,あまりひどくなければ,靴墨で汚してあるものもある程度きれいになります。ただ難点はミントの香りがしてしまうことで,洗浄後にお茶などでまた煮る必要があります。特に蔵にしまってあったものなどかび臭さが消えないものにはきわめて有効です。


十分に水洗いして,ブリーチを落としたら,お茶を淹れ新しい茶壺をおろしたときのようにお茶を塗ります。
古壺は十分にお茶を吸っていますから,クレンザーで洗ったくらいでは,まだ十分もとの実力を持っています。従って,お茶をつけて少し磨けばすぐに光ってきます。
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購入直後
再生後

     
良い土味が戻りました。