茶壺の発展と歴史時代別特徴

急須のことを中国では茶壺(さこ:chahu)と言います。
紫砂壺とは中国江蘇省の宜興(ぎこう:yixing)で生産される急須の総称です。紫砂壺の特徴はなんといってもその原料である胎土(泥)にあります。宜興の茶壺を使って淹れたお茶は渋みやあくなどの成分が抜け,おいしくなります。そのため急須の中でも最高の道具として昔から珍重されてきました。
 「おいしく飲める」という実用性に加えて,釉薬を使わない陶器でありながら磁器と同じくらいの硬度があり非常に丈夫であること。多彩なデザインの魅力,作りの精巧さ,壺に彫られた書画など文人趣味などから,美術品としても磁器などと並ぶかそれ以上に価値をもったものです。



現在見られるような紫砂茶壺は明代から製作されています。時代により盛衰がありますが,伝統的に茶壺に銘や作家の刻印(落款)があり,明代・清代の著名な作家のものは中国語圏ではコレクションの対象となっています。日本でも煎茶家の間で,唐物志向や文人趣味とあいまって珍重されてきました。
 また,現代作家も「工芸美術大師」など中国国家から認定された資格の持ち主の作品は,各国の美術館で展示されており,中国を代表する美術品の一分野となっています。