耀州窯博物館
   
   
 耀州窯と法門寺に行ってきました。直前まで,アモイの奥にある,赤絵のシ章州窯に行こうかと思っていたのですが,二玄社から耀州窯の本が出て,この本があまりにわかりやすくおもしろいので気持ちがこちらになってしまいました。
耀州窯は古都西安から車で1時間ほどのところで窯が発見され,現在では窯跡の公開と博物館が出来ています。

それと法門寺。ここもやはり西安から車で1時間強のところにある,仏舎利が現存することで有名なお寺。ここの塔が崩れたときに,地下から宝物殿が出てその中に有名な秘色青磁が発見されました。
この秘色青磁を見たくて法門寺にも行ってきました。
秘色青磁は,現在北京の歴博で1枚見ることが出来るほか数カ所に展示されていますが,大部分はこの法門寺博物館に展示されています。
耀州窯
耀州窯は,草色がちの透明な釉薬のかかった櫛目の模様で独特のスタイルを持った青磁です。歴史は古く,五代の頃にピークを迎えます。北宋の頃よりも,五代の頃のものに良いものがあります。
 耀州窯までは西安までは高速道路が整備されており,(というより道路整備で窯跡が発見されたようですが,)西安から1時間ほどで着きます。耀州窯博物館は,かなり大きなもので,発掘品を中心に時代別に展示されており,ここもいつものほとんど見学者はおらず通り貸し切り状態。しかも,学芸員の方が付き添って解説までしてくれました。とにかく,ものすごい展示量。耀州窯が時代別にこれだけ一気に見られるというだけでもわざわざ行く価値のあるところです。残念ながら撮影は禁止だったのですが,ほとんどは二玄社の本に載っていますので,まぁ良いとしましょう。図録のようなものは残念ながらありませんでした。博物館からほど近いところに窯跡があります。かなり大きな窯跡で,ふつうの体育館くらいありました。

 博物館では,倣古品を制作しており,大部分はお土産品レベルのものなのですが,掟破りのものを一部作っています。それは何かといえば,出土した宋代の型を使って,茶碗を抜いて作っていることです。本物の型から出している茶碗ですからもうそのフォルムは申し分ありません。土や釉薬もほぼ再現されており,これがもし,時代の桐箱に入って日本の骨董品店などにあったら,私レベルだと簡単にだまされてしまいそうな出来です。

耀州窯址

the耀州窯といっても良い水注 国宝です。
西安博物館

これが,宋代の型から出した倣古の茶碗
こんなのいけませんよね・・・


大部分はお土産品レベル
手前にあるのは,左上の水注のコピーです
法門寺
 法門寺というのも,前から来たかったところ。世界で唯一本物の仏舎利があるお寺として有名ですが,ここから発見された秘色青磁は焼き物好きにとってはたまらない存在です。法門寺の塔が,経年劣化で1981年に崩れ,下の写真のように悲惨な状態になりました。その再建の最中,塔の地下から大量の宝物が発見されました。
数々の宝物に混じって右下の写真の状態で籠に入って布で包まれた大量の秘色青磁があったわけです。秘色青磁自体は,古越窯だと言われていますが,詳細はまだまだ不明です。出土したとき右下の写真のように布で包まれていました。そのため,布の模様が長年の間に釉薬に写ってしまったという,実に歴史のロマンを感じさせるものです。秘色青磁自体は一般の使用は禁止され,宮殿内だけの使用だったそうですから,当時の皇帝が法門寺に寄進したのでしょう。
法門寺の左手にこれらの財宝を展示した法門寺博物館があります。こじんまりとした博物館なのですが,有名な仏舎利を入れるための何十にもなった箱や,たくさんの銀製品。秘色青磁の展示もほぼ1室分あります。ここも残念ながら撮影禁止でしたが,すべて頭に入るくらいの適度な展示量で楽しめました。銀製品などすばらしいものがたくさんありました。

当時の長安の栄華がしのばれる博物館です。おそらく西方から渡った銀製品や,その他たくさんの宝物が当時の皇帝によって,長安から相当離れたこの法門寺に寄進されていたのでしょう。

西安に行かれる際は是非見に行ってください。


法門寺

1981年崩壊の時の写真

法門寺博物館
茶文化国際討論会なんてのがあったようです


地下宮殿から秘色青磁が布につつまれて発見された様子

秘色青磁

香港茶具文物博物館
 今回,西安に行くと決めたのが直前だったので安いチケットが買えず,ドラゴン航空が一番安かったので出入りが香港になりました。香港といえば,やはりここにもうでないわけにはいきません。香港の茶具文物博物館は実にひさしぶり。茶壺自体も数年前に東博での展示でお目にかかって以来。
ちょっと中にはレプリカ飾ってるの?っていうのもありましたが,無料ですから楽しめます。実は,現在香港にお住まいのらんらんさんにつきあってもらいました。

新しい図録が出来ていました。逆に欲しかった旧版の図録が買えませんでした。(茶壺以外の下巻が欲しかったんですが)


香港公園内にある茶具文物博物館


圏F蘭
すばらしいです。

曼生壺

■香港の茶壺事情
 下の香港大学の近くにキャットストリートというがらくた横町とその横に骨董街があります。宜興ものはほとんどだめでした。というか,宜興ものに限らず全くだめでした。時間があれば,じっくりお茶でもいただいて世間話でもすれば奥からそれなりのものが出てくるんでしょうが,店頭展示のお土産品クラスのもので相当高いのでこれは意味がないと思ってやめました。
お茶屋にある茶壺は,これに輪をかけて売らないという意味ですねというような値段のものばかり。香港に茶壺探しに行くのはやめた方が良いです。おみやげ物屋さんでは,ほとんど潮州あたりのコピー品でコピー品を買うなら台湾製の方が良くできています。l
香港大学博物館
 香港にはすばらしい博物館がもうひとつあります。香港大学美術博物館がそれ。無料で,これだけすばらしい時間が過ごせる場所は香港ではほかにありません。ここも中国の他の博物館の例に漏れず誰も見に来る人はおらず,貸し切り状態。青磁や青花の逸品がかなり大量に展示されています。もともと,どなたかの個人コレクションだったものですが,アットホームな展示で居心地がよく,実に楽しい時間が過ごせました。書画なんかは,ガラスも無く直に見ることが出来ます。(重要なものにはガラスがかかっていますが)ここには,古壺ではないけれど現代の宜興作品の展示や茶館もあります。お茶を飲むならここはおすすめです。

それと,もう一つはミュージアムショップ。ここでしか買えない,中国の雑窯の研究本や図録などがおすすめ。


香港大学美術館の茶館のパンフレット

香港大学美術博物館