ロンドンとパリに行ってきました

デビッド博物館
(2007年でクローズ)
 実は昨年スイスに行くときにロンドンにしようか最後まで迷ったのですが,イギリスは,行ったことのある人に聞くと皆皆異口同音にご飯がまずいよいうのでやめてスイスにしたという経緯がありました。でも,来年まで,台北はリニューアルが終わらないし,「名品を見たい」病は,おさまらずもうロンドンしかないと思い,覚悟して「まるちゃん」なんかをスーツケースに詰めて行きました。
(実際はスイスの方が口に合いませんでしたが・・・)
ロンドンのデビッド博物館,大英博物館,ビクトリア&アルバート博物館,パリのギメ美術館とヨーロッパにまた中国陶磁を見るためだけに行ってきました。

以前講談社から出た,「東洋陶磁大観」という美術全書でしか見ることができなかった,ヨーロッパの中国陶磁をおなかいっぱい味わってきました。

しかし,ここからあとは美術館めぐりも大変です。イラン博物館とか,結構根性をいれないといけないところが残っているようになってきて・・・

話は違いますが,台北故宮は,リニューアル後,展示面積が増えるだけでなく,4階まで吹き抜けにして参観導線をわかりやすくするらしいです。にしても,早く台北オープンしてくれないかと思ってしまいます。


ロンドンへ ロンドン市内
 ロンドンへの飛行機は,やはりいつものように予算の関係で直行便は最初から検討に入れられず,今回はソウル経由ということにしました。なんだかんだドアツードアで20時間近くかかりました。
今回乗ったコーリアンエアー,おもしろかったのはサービスの仕方。成田ーインチョンは日本風のサービスで,インチョンーヒースローはヨーロッパ風のサービス。同じコーリアンで対応が違っていたことです。キャビンアテンダントは,切り替えが大変だなぁと余計なことを心配してしまいました。アジア線専門とかに分かれているんでしょうか?でも,ロンドン線の人も日本語うまかったし・・・

11時間乗っていると食事が2度出ます。そういえば,むかしアメリカに行ったときも無理矢理起こされて食事をだされたなぁなんて考えて,なんとかイギリスに着きました。

イギリスの入国は,旅の目的とか,滞在日数とかちゃんと訪ねられます。ヒースロー空港について電車で市内へ・・・
宿は,大英博物館の隣,歩いて5分もかからないところです。トッテナムコートロードという所の,大きなホテル。結構部屋代高かったのに,あまりぱっとしないホテルに部屋でしたが,まぁ観光できたわけでもないし?よしとしよう!
ここならデビッドへも10分程度で歩いて通えます。
近くに,チャイナタウンもあってけっこう良いロケーションだとおもうようにしました。

実は,デビッドは知人二人がそれぞれ行ったら,ふたりとも開いておらず見ることが出来なかったと聞いていたので不安がありました。せっかくデビッドを見にロンドンまで行って,クローズだったなんてことになったらしゃれになりません。加えて今回行ったゴールデンウィークはイギリスもバンクホリデーとかがあって,やばそうなので,だんだん不安になって,日本の英国観光局とかに問い合わせをし,それでも不安なので結局デビッド博物館に直接メールをだして4月30日から5月6日までにいついったら良いですかと質問したら,すぐに丁寧な返事をいただき,5月3日と4日ならあいているとのことで安心して予定が立てられました。
デビッドは,ロンドン大学アジアアフリカ研究所というところの学術研究施設で,結構クローズしていることが多いのです。皆さんも行くときは事前に確認してからのほうが無難です。

ロンドンのチャイナタウン
デビッド博物館(2007年でクローズ)
 ご存じの方も多いと思いますが,デビッド博物館はパーシバルデビッド卿という,世界一の中国陶磁コレクターが集めたコレクションを展示してある博物館です。有名なデビッド瓶という元時代の染め付けから,汝官窯,南宋官窯,明清の名器が一挙に,集められ,両故宮をのぞけば,ナンバーワンのコレクションです。しかも,彼のコレクションは,紀年款の入った物が多く,時代を特定できる貴重な物であること。また,北宋以前の物はあまり無く,青磁や染め付け,清朝の単色,粉彩など実に趣味の良いコレクションであること。清朝が崩壊したときに流出した,乾隆御題詩がはいった,正真正銘のインペリアルコレクションであることなど,本当に勉強になります。

しかもそんな国宝クラスのものが,理科の実験室のような飾らない状態で展示されていること。しかも,出来る限りの自然光で見られることなどが特徴です。

入場は無料ですが,写真撮影は,ショットごとに紙に書いて申告し,自分の研究以外の用途には使わないという文書にサインしなければなりませんので,残念ながらここにアップすることは出来ません。

2階(1階をグランドフロアというのでたぶん1階が正解)の展示が宋磁を中心としたもの。汝官窯が,最初に目に入ってきます。三足洗は台北のものより大きめ。にしても,これが汝官窯だという論文を発表した,デビッドの汝官窯は圧倒されます。それ以外も欽窯紫紅釉の瓶や,コレクション中もっとも美しいといわれる南宋官窯の瓶などすごいものばかりです。おもわず「すばらしい」などと独り言を言ってしまいます。誰もいないからいいんですけど・・・

哥窯コーナーの(南宋官窯という説もある)小さな碗や,宜興の鈞釉をかけたアヒルなど,もうどれをとっても凄い物でした。

3階は,景徳鎮の名品が多く,茶杯になりそうな小さな闘彩や,五彩のものが目を引きます。これコピーでも良いから欲しい!という感じの物が多く,こんどデビッドの図録を持って景徳鎮に行って,作ってもらおうかと真剣に考えています。

だいたい中国陶磁の博物館はどこに行っても貸し切り状態で,ここもほぼ半日いたのに私以外には3人くらいしか来ず,堪能しまくりました。だいたい3階なんて,係の人もいないんですから・・・

図録はオリジナルの物以外に,アメリカや日本での展示の際のものも売っていて,おかげで,帰りの荷物が35kgにもなってしまうという大変な目になってしまいました。
かなりの量の図録をかかえ,ホテルの部屋へもどり,大満足の一日でした。

デビッド博物館
大英博物館
 大英博物館は,ロゼッタストーンとか,ミイラとか,パルテノン神殿とかそういう有名なものだけでなく,中国陶磁にもすばらしい物があります。展示場所が建物の一番奥にあるのと,あまり中国陶磁に興味がある人がいないのか,やはり人もまばらでした。だいたい来てる人はアジア系の人で,耳には北京語か広東語が入ってきます。ヨーロッパ系の人はほとんど興味が無いようです。


 焼き物だけでなく,書や玉器の展示もあり見応えがあります。玉は特にすばらしいものが多く,中国の地方の博物館などちょっとかなわないというくらいハイレベルな展示でした。中国陶磁だけの図録は無かったのですが,中国美術コレクションのものがあり,これが,中国美術を理解するには実にわかりやすくコンパクトにまとまっていて,良い本でした。

龍泉窯。きれいな焼き上がりです。

清朝後期くらいの四方壺ですね。これの背の高いのが今は無き
台北鴻嬉美術館が持っていましたね。

あっさりとした緑の唐草がみごとな逸品

宜興の壺。カエルとかガチョウなんかがいます。
ビクトリア&アルバート美術館
 ロンドンでもう一つ見逃してはいけないのが,ここビクトリア&アルバート美術館。通称V&Aと呼ばれているここの1階にも有名な中国陶磁のコレクションがあります。チューブと呼ばれる地下鉄の駅から地下道でつながっていて,そのまま地下から博物館にはいれるというしゃれたしかけになっています。日本のデパートに入っていくような感じです。

 デビッド,大英にくらべれば数は少ないですが,焼き物だけでなく,清朝の官衣や仏像,文房四宝など良い物が展示されています。おもしろいのは,FAKEと判子をおした,贋物も展示されていることと,青花などを手で触れられることです。また,景徳鎮などが,ヨーロッパ向けにデザインした磁器も数多く展示されており,イギリスを始めヨーロッパで中国の焼き物がいかに珍重されていたかが,良く伝わってくる展示です。

ここまで見続けていると,もうイギリスにいるのか中国にいるのか分からなくなってくるほどの量をを消化したことになり,かなりの満足感があります。20時間もかけてやってきただけのことはあるというものです。

ここの図録は宋磁だけのものと,中国全般のものがあります。

ちなみに現代作家「蒋蓉」の作品も収蔵されています。

輸出むけデザインの宜興
どちらもバランスがすばらしいです。

砧手のみごとな焼き上がりの龍泉窯

紫口鉄足とひびがきれいな哥窯(南宋官窯)
パリ ギメ美術館
 ヨーロッパ最大のアジア美術コレクションが,ここパリの「ギメ美術館」です。ロンドンウォータールーという駅から朝6時半発のユーロスターで3時間ほどでパリに着きました。鉄道で国を超えるというのが,なかなかおもしろい体験でした。(香港から広州までも乗ったことがありません)イギリスはEUに加入していないのでパスポートコントロールがあります。ドーバー海峡の中で止まって係の人がくるのかと思ったら,ロンドンの自動改札を通ったらすぐ,パスポートコントロールがあり,パリではパスポートどころか切符も回収しないという簡単なものでした。

ギメは,もともとアジアの宗教関連のコレクションとしてなりたっており,中国陶磁よりもアフガニスタンとかチベット,カンボジアなどの仏像や関連具が実に見応えがあり,圧倒されました。

焼き物は,西安歴史博物館のものとほぼ同じ有名な耀州窯の水注や,欽窯などが印象に残りました。以前「陶説」に,柴窯というのは,出来の良い耀州窯ではないかという話があって,それを考えて見ていると,昨年の西安博物館の耀州窯水注とともに,ほかのグリーンが強い耀州窯とは違うなと思ってしまったりしました。

 せっかくのパリなので友人にいろいろ食べるところを教えてもらったのですが,11時前について午後3時過ぎくらいまでかかっても見終わらず,ギメの内容の深さに改めてびっくりしました。ルーブルは切符買うのに時間がかかるというので,ギメで博物館一日通し券を買ったのに,結局ギメに行っただけで帰りの時間となってしまいました。もう時間が無いので仕方なくギメの地下で食事をしたのですが,フランス語のメニューしかなく,ことばも通じず,ブルースリーの映画のように適当にカテゴリーの中からえらんだらすべて中華料理だったという,ありゃ〜というお粗末もありました。ルーブルはあきらめ駆け足でオルセーを見て,タイムアップ。

でも,帰りのユーロスター,トラブルで1時間遅れ!だったら,もうすこし見れたのに!

 帰りに,北駅の構内で買った,フランスパンに肉とか野菜とかを挟んだ20センチくらいあるものがとてもおいしく,これなら日帰りではなく,一泊してちゃんと食事をするんだったと後悔しながら,暮れていくフランスの田舎の風景をみていました。

ちょっとバランスが悪いですね。

柴窯?

デビッド瓶に似た瓶

三浦小平二のような,鳥が蓋のつまみになった龍泉窯
ロンドンの骨董屋

ここは中にかなりの店が入っています。
ここで宜興を1個買いました。


郊外の青空市
結構中国物もありました。

ここの骨董街はあまり・・・

急須のオブジェに,どきどきして入ったのですが,残念!